Interview
◆Introduction
今回の『スウィッチ』電子書籍版表紙イラストを手がけたのは、イラストレーターの駒井春樹さん。
普段は関西を中心に活動されている駒井さんだが、この度、東京ビッグサイトで開催された「第4回 クリエイターEXPO」に出展されるということで、ゴマブックス取材班が駒井さんを直撃インタビュー。
『スウィッチ』表紙イラストの創作秘話などをうかがいました。

※スウィッチ編集担当とPR担当が、東京ビッグサイトで開催されたクリエイターEXPOを直撃!
(残念ながら外の写真しかありませんが……)
◆Interview
―― イラストを描く時のこだわりは?
駒井 まず、偶然性を大事にする、というところでしょうか。
僕が普段描く時、あまり下書きのイメージを固く作らず、なんとなく描きながら見えてきた形が面白いから形にするという風に。だから、実は完成するまで僕自身もどんな絵になるのかわからない。そういうワクワク感は大事にしたいなって思っています。
※今回駒井さんが手がけたイラスト
鮮やかな赤色と、ウェンディの力強い瞳が印象的だ。
―― 駒井さんのイラストはファンタジー要素が多いように思いますが、やはりそういったジャンルがお好きですか?
駒井 そうですね、この世界にない空想のものとか。
街を描く時も設計士の方から見たら「こんな建物は本当は建たない」というのが結構あったりするんです(笑)でも、空想の世界だと「いや、ここは地球とは条件が違うんだよ」とか。ファンタジーならではの現実にはない面白さってあると思うんです。
勿論リアリティーは大切ですが、僕は自由に想像する事の楽しさだったり、意味はないけど面白いと思う事を優先する部分も、実は凄く大切な要素なのかなと思います。
そして、ファンタジーを描く事の根底には、日常のなかで暮らしているからこそ、日常では見られないものを見たいというところが創作の原点にあるのかなと思います。
―― 例えば『スウィッチ』のように、別世界の人が現れて「これから違う世界にいくよ」といわれたら駒井さんはどうしますか?
駒井 命の保障があれば見てみたい(笑)
でも実際、そんな場面に遭遇したら凄く怖くて不安でしょうし、なかなか決断出来ないと思います。
ただ、自分がもし物語の主人公だったら読者が読んで面白いのは? と考えると、やはり冒険するべきでしょうね。
また、これはリアルでも時々考える事ですが、いま『この人生』という本を読んでいる読者が別にいるとしたら、今のシーンは楽しいのか? それを意識して行動すると自分の人生もドラマティックなものになる・・・ような気がして。それを体現できればいいのですが、なかなか現実は・・・(笑)
例えば、海外に行くという選択ひとつにしても、物語的に言えば冒険ですよね。言葉は違うし、治安など色んなリスクも勿論気を付けなければいけませんが、何も起こらない物語よりも、動きのある物語の方がきっと楽しい。
僕は、若い人たちこそ、感受性の高い若いうちに海外を見て欲しいと思います。異文化にふれるというのは、地球上であっても異世界に行ったのと同じくらいの衝撃を受けますし、なによりドラマティックです。
僕が初めて海外に行ったのは、15年くらい前に行ったイタリアです。
まず驚いたのは、向こうの17歳くらいの学生が物凄く大人びて見えた。日本の17歳と全然印象が違います。まず、腰の位置が違う(笑)成人男性なんかは、横に並べば、僕の胸の位置がお腹くらい。
あと、公衆トイレの男性用便器の高さが違う。大半が大人基準で作ってあるので。僕みたいに、あまり背が高くない人は背のびしないとしんどかった(笑)
当時は色んな事が「こんなとこまで違うんだ」って、発見の連続で、凄くいい刺激をもらったのを覚えてます。
―― おしまいに、若者たちにひとこと。
駒井 とにかく、リスクを恐れずに、いろんなことにチャレンジしてほしい。
大企業だって倒産することはありますし、いままでここにいたら安全だといわれていた常識が、もしかしたら180度くつがえるかもしれない。
そのなかで、自分の意志で判断し、責任をもって行動することが、いまの若い人たちには必要なのかなって思います。
例え深く信頼している人でも、誰かが「これが正しい」っていったことを100%受け入れてしまうというのは危険なこと。自分で考えて、自分で吟味し、答えを導きだすことは、凄い価値のあることだと思いますので、色んなことを選択し、経験して、リスクを恐れずに飛び込んでください!
■編集後記
もし、自分の、『いまこの人生』という本を読んでいる読者がどこかにいるとしたら、より面白いのは、どちらだろうかと考え、「異世界」に飛び込んだウェンディのように、若者にはぜひ、いままでの常識がくつがえされるような「異文化」にふれてほしいという駒井さん。
最終的には、飛び込むかどうかを決めるのは自分だ、というメッセージが、はからずも(?)『スウィッチ』の物語とぴったり一致する、完璧な着地点でのインタビューでした!
駒井春樹(こまい・はるき)
京都生まれ。成安造形大学芸術学部イラストレーションコース卒業。イラストレーター、画家、大阪総合デザイン専門学校非常勤講師。
個展、グループ展、創作系イベントへの参加などを中心に活動中。また、アートイベントの企画ブランドとして、GENSOU PROJECTを立ち上げ、企画展のプロデュースや、海外イベントへの参加ツアー企画なども行う。
イラストレーターとしては、ゲームイラストや挿絵、イメージビジュアルなどを手がける。
■オフィシャルサイト
http://www.harukikomai.com/
特集TOPへ
■商品Link