銭形平次捕物控 美少年国
商品説明
内容紹介
◆銭形平次捕物控 314 美少年国
※旧字旧仮名
※縦書き
※目次付き
※kindle端末移動メニュー目次:2階層表示対応長編?です。
著者について
野村 胡堂(のむら こどう、1882年10月15日 – 1963年4月14日)は、日本の小説家・作家・音楽評論家。
本名:野村 長一(のむら おさかず)。『銭形平次捕物控』の作者として知られる。娘は作家の松田瓊子。
~ウィキペディアより ~
銭形平次 捕物控について
『銭形平次捕物控』(ぜにがたへいじ とりものひかえ)は、野村胡堂による小説、またこの小説を基に
した映画、テレビ時代劇、舞台作品。翻案作品ではタイトルを単に『銭形平次』とするものもある。
神田明神下に住む岡っ引の平次(通称 銭形平次)が、子分の八五郎(通称:ガラッ八)と共に卓越した
推理力と寛永通宝による「投げ銭」を駆使し、事件を鮮やかに解決していく。岡本綺堂『半七捕物帳』と共に
最も有名な捕物帳であり、代表的な時代劇作品の一つでもある。
作品の舞台が江戸時代のいつ頃かははっきりしない。原作の最初の頃は寛永期(1624年 – 1645年、江戸初期)
を舞台にしていたが、第30話から文化文政期(1804年 – 1830年、江戸後期)に移っている[1]。
平次は架空の人物であるが、小説の設定から神田明神境内に銭形平次の碑が建立されており、銭形平次の
顔出し看板も設置されている。
小説
1931年、文藝春秋発行の「文藝春秋オール讀物号」創刊号に銭形平次を主人公にした「金色の処女」が
掲載された。これが『銭形平次捕物控』の第1作目となり、以降第二次世界大戦を挟んで1957年までの26年間、
長編・短編あわせて383編が発表された。
作者の野村胡堂は、文藝春秋から「岡本綺堂の半七捕物帳のようなものを」と依頼され、構想を練った。
そのとき、たまたま建設現場で見かけた錢高組の看板と社章から「銭形」の名前と投げ銭を思いついたという。
また、『水滸伝』に登場する没羽箭張清が投石を得意にしていたというエピソードも、投げ銭のヒントとなっ
たという[2]。
嶋中書店から「嶋中文庫 銭形平次捕物控シリーズ」が刊行されていたが、同社の廃業により、2011年現在、
本作を安価な新品の文庫で入手することは困難となっている。
参考
[1] メディアファクトリー『時代劇解体新書!』
[2] 株式会社 銭高組「『銭形平次』誕生秘話」
~ウィキペディアより ~
本文より
平次は先づ、死骸を調べることにして、離屋の中に入りました。六疊と四疊半の二た間、元隱居家に建てたものらしく、木口も確りしてをり、調度もなか〳〵に立派です。主人の弟の佐野松は、六疊の眞ん中に敷いた、布團の中に、紅に染んで冷たくなつてをりましたが、縁側から見ると、壁に面した向う向き、傷は上から掻き切つた喉の側面、鋭利な薄刄の跡で、恐らくは剃刀でやつたものでせう。
剃刀で大の男の頸動脈を掻き切つて、聲も立てさせずに殺すのは、これは容易ならぬ手際でなければよく顏見知りの、──例へば仲の良い女などが、首つ玉に抱きつくやうにして、思ひきり深々とやつたものでせう。
それにしても、平次を驚かしたのは、この佐野松の死に顏の美しさでした。
これは本當に男であらうか──? と、さう疑つたほどの端整な顏立ちです。少し死の色に刷かれて、蒼く黄色に沈んでをりますが、芝居の色子の老けたのか、女が男に化けたのか、何んと言つても、一方ならぬ美しさです。
年は二十二歳と聞きましたが、小意氣な野郎額、眉も、眼の切れも長く、少し高目の鼻も線の柔かさで緩和されて、顎の丸さに、少し青髯の跡がなかつたら、平次も本當に女と間違へたかも知れません。